★無事に越冬させる方法★
●越冬に備える剪定は基本的に必要ありません
基本的に越冬のために枝を剪定する必要はなく、雪の重みで枝折れを回避できる冬囲いができればよいので、伸び過ぎて囲いが効かない部分だけ除去します。オールドローズや半ツル性など枝がしなるものは、雪による枝折れは回避できるのでそのままで構いません。未開花のつぼみなどは病原菌の越冬の恐れがあるので、先の部分だけ切除します。バラはできるだけ枝を残して越冬させ、春に本格的な剪定を行います。
●四季咲き品種は確実に葉を取り除こう!
寒さに対する感受性が備わっていない四季咲きの種類は遅くまで緑の葉を保ち、降雪前に落葉しないものが多くあります。これらは一季咲き種よりも耐病性が弱いものが多いので、翌年のために、確実に葉を取り除きましょう。病原菌などの越冬予防には葉を付け根から取ることです。葉を下方に引っ張って取り除きます。他の落葉樹が落葉し始める頃を目安に行ってください。
●遅いシュートは取り去りましょう
シュートは翌年以降、数年に渡っての開花枝となり貴重です。しかし寒冷地での越冬は、水分含量が多いので早めに枝先を止めて充実を図る必要があります。秋になってから出現したシュートは伸長が足りず、枝先を止めても充実期間が短いため結局は凍害で枯れてしまうので、枝元から取り去ります。ただ、枝の耐凍性が強いシュラブローズやポリアンサ系などは、秋に花を付けているシュートでも越冬できます。各系統によって対処しましょう。
●冬に備えたカリ肥料は早めに
夏以降、越冬を意識してカリ肥料を与えるのは効果的です。ただ、あまり気温が低下するとカリの吸収が行えなくなるので、8月中旬~9月にかけて主な時期になります。ただし、この時期のチッ素の吸収は耐凍性の低下につながるので、バラ専用肥料などのほかの肥料は与えないでください。北国では凍害の危険があるので、寒肥は春の雪解け後に行うと良いでしょう。
●病害虫は越冬させないこと
病害虫を翌年に持ち越さないために、晩秋に株上と植床に落ちている葉を全部取り除き、その後石灰硫黄合剤10倍液を株全体と植床表面に散布します。雪解け後の早春にも再度同様に散布した方がよいでしょう。
●冬囲いの方法
ツツジなど他の低木類と同様に枝を結束し、各株3本の根曲がり竹を立てて縄で巻き上げます。ツルバラなどフェンスやアーチに誘引している場合は、それらを結束すると良いでしょう。
●耐寒性が不安の場合
積雪のある地域では雪に埋まってしまえば枝の凍害は回避できます。ただし、雪から出た枝や、積雪が少なく気温が下がる地域は品種により凍害を起こすことがあります。その場合は雪から出る部分をムシロや防風ネット、ビニールなどで覆いますが、積雪度合いや気温、風当たりなどを考慮してカバーする材料や方法を選びます。積雪地での保護は地際まで覆わず株元はやや透かしておきます。積雪が少ない厳寒地や品種によっては、株元に土を厚めに盛っておくと枝元の凍害は回避できます。
★夏のバラのお手入れ★
●バラの苗選びのコツ
北海道では冬越しの関係や生育期が短いことを考え、新苗より大苗で1年以上たったものを選ぶのが無難です。株元が太くがっしりしていて、太い枝と葉数が多く、株全体の生育バランスがいいものを選びます。
●バラの好む植え付け場所
バラは日当たりを好みます。日照不足だと花つきが悪く弱い株に育ちます。土壌は水はけがよく保水力に優れ、肥沃で通気性があるものが理想的です。水はけが悪い場合は、底穴にゴロ土やれきを入れる、または客土が必要です。風通しは少しある方が良いでしょう。ただし、強風は株を傷めるので避けるようにします。
●バラを植え付ける
北海道でのバラの植え付けで鉢仕立ての場合は、そのまま鉢から抜き取り根鉢を崩さなければ、根を傷めることがないため、いつ行ってもかまいません。真夏でも定植が可能です。
●日常のバラの管理
(水やり)
地植えの場合は、晴天が続き土が乾燥する場合を除いては水やりの必要はありません。水を与える場合は、根まで十分水が届くように弱い水流で長時間かけて水やりを行います。一度にたっぷり水を与えたら、土が乾くまで次の水やりは控えます。鉢植えの場合は、鉢底から水が流れるほどたっぷり与え、水が引いた後に再び同量の水を与え、鉢の中心部まで水が行き渡るようにします。その後土が乾くまで水やりは控えましょう。受け皿をしている場合は皿に水を溜めないようにしましょう。泥はねが病気の原因になることがあるので、水やりは株元から少し離れた場所で静かに与えます。水やりの時間は夕方~夜間は避け、午前中に行います。夕方~夜間に与えると枝が軟弱に徒長したり、昼間に水切れを起こして正常な生育や光合成ができなくなります。また昼夜が逆転して悪循環になると、花付きが悪く、病気も完治しにくくなるので注意しましょう。
●追肥を施す
植え付け時の施肥のほかに、生育期と花のピーク後に追肥を行います。地植え、鉢植えともにつぼみが色づくまでの間、「微粉ハイポネックス」400~800倍液または液肥を週1度位の割合で施します。ただし、つぼみが色づいてからも肥料を続けると花が乱れるので注意しましょう。花後の追肥は地植えの場合は速効性の化成肥料を施します。株元から30~40cm離れた場所に少し穴を掘って土と馴染ませます。鉢植えの場合は液肥を施します。秋の追肥はややカリ成分の多いものを与え、株の充実に努めるとよいでしょう。
●病害虫対策
雪解け後すぐに石灰硫黄合剤を散布していない株は、病害虫の発生率が高くなるので注意が必要です。株が丈夫だと病害虫はつきにくくなるので、まずは予防のために株を丈夫に育てましょう。また薬剤の散布は、手持ちのバラの本数が少ない場合は、殺虫・殺菌両タイプのスプレー式を2~3種類用意し交互に散布しましょう。バラの本数が多い場合はそれぞれの病害虫に効果のある薬剤を2~3種類用意して交互に散布します。ただし、株が若いうちは芽先や葉が柔らかく弱いので、少し薄めに散布します。薬剤は株全体にまんべんなく散布し、最後に地表面にも散布します。散布後は効いているかどうか2~3日後に確認が必要です。効果がなければ、薬剤を濃くする、または別の薬剤を再度散布し短時間で駆除することが重要です。症状がひどい場合は、患部を切除してから数日後に薬剤を散布する方法もあります。薬剤の散布は晴天や風の強い日の散布は避けます。水分の蒸発を促し、濃度が上がって薬害を起こす恐れがあるためです。無農薬栽培にする場合は株を丈夫に肥培管理し予防することが大切です。またコンパニオンプランツやニームオイルなどの植物抽出液等を利用するのもよいでしょう。
●花がら切り
次の開花を促すために花がら切りを行います。主に四季咲きの品種は作業が必要です。一季咲きの品種は特に実を観賞するような場合には花がらを切る必要はありません。切り方は花がらに5枚葉を1~2枚つけて、外芽の上(外を向いている葉の上)で芽と平行になるように切るのが基本ですが、株の状態や系統等に合わせて行います。